備前福岡屋カネヒコ酒店

処暑 次候

本日 「処暑 次候」

天地始めて粛し ~てんちはじめて さむし~

 

ようやく暑さが収まりはじめるころ。夏の気が落ち着き、万物があらたまる時期とされています。

 

候のことば「二百十日(にひゃくとおか」

二百十日は雑節の一つで、立春から数えて二百十日。台風がやってくる日とされています。先日ご紹介した八月一日の「八朔(はっさく」や二百二十日とともに、嵐が来る農家の三大厄日。富山市のおわら風の盆など、各地では作物の無事を祈る風鎮めの祭が行われます。

古来、わたしたち日本人は、万物に神が宿っていると信じてきました。我が国最古の歴史書「古事記」の冒頭には、簡単に書きますと、「先ず世界があり、神が生まれ、日本を創られた」といったお話があります。「まず世界があり」ということを考えると、神は万能ではなく、また多くの神がいることから、神は絶対ではないという考え方が伺えます。

 

大事なことは、これは神様という概念にとどまらず、何事も絶対はなく、おおらかに多くのものを受け入れることができる考え方、つまりは「和」の精神を私たち日本人に知らず知らず教えてくれているのではないかと考えています。

 

旬の魚介「ぐち(シログチ)」 旬の果物「ぶどう」

 

旬の兆し「野分(のわき)」

 

「野分のまたの日こそ いみじうあわれに をかしけれ」  -清少納言『枕草子』第200段よりー

 

私たちの国語は、世界最古の国ということもあり、中世から現代にかけて言語変化の最も少ない言語とも言われています。何度も読めばなんとなく、感覚的にわかってきます。意訳は本によって様々で、これも大事なのですが、もっと大事なのは自分自身の解釈だと思います。

 

お酒も基本的な知識を馴染みの酒屋の大将に尋ね、あとは自分なりに楽しむ。これが大事です。みんな味覚も違えば、体質も様々。季節の酒をいろいろ楽しみつつも、通年ある「これだ!」という自分だけの一本を見つけられてはいかがでしょうか。その酒は貴方の人生の大切なものの一つになると思います。

 

十九代目 大塚恭範 拝