備前福岡屋カネヒコ酒店

清酒の酒質成分表記について 其の一 「日本酒度」

酒屋でまたは、飲食店や清酒のお品書きをご覧になれられる時、「日本酒度+8」、「山田錦使用」、「精米50%」などなど、お見かけすることと思います。成分表記に「日本酒度・酸度・アミノ酸度」などありますが、今回は先ず日本酒度についてご紹介します。

 

『日本酒度の+値が高ければ辛口だし、-値の方に振れれば甘口』といった知識ををお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「~+1:甘口」 「+-2~+6:辛口」 「+7~+13:超辛口」 「+14~:大辛口」といった感じでいわれます。補足ですが、日本酒度は「+12」!と表記されるというより、本来「+2~+4」といったように蔵元さんは表記されているところが多く、飲食店さんのお品書きなどは便宜上、中間のひとつの数字にしているところがほとんどです。

 

しかしながら、辛口が好きだと仰るお客様の中には、「日本酒度-6」くらいの清酒を『スッキリしてて飲みやすいねぇ』と言われる方もいらっしゃいます。そもそも、日本酒度だけで甘口辛口を決め、辛口はスッキリ、甘口はまったりとは言えないのです。

結論から申し上げますと「なぜ、甘口でもスッキリなのか」については、「酸度・アミノ酸度」の数値、使用米の特徴などと様々な要因が、酒の味わいを創り上げています。

 

では、日本酒度とは何かについてですが、

清酒の中に、日本酒度浮標を浮かべて日本酒度を測定するそうですが、清酒の温度が15℃の状態で4℃の純粋な水と同じ重さのものを「日本酒度+-0」と定めています。日本酒の主成分であるグルコース(糖分)が多ければ、日本酒度の値は-になるというわけです。清酒はお米でできていますので、超辛口といった清酒でも糖分をはじめ様々な成分を含んでいます。しかし、「+の方は水より軽いのか」と誤解される方がいらっしゃいますので、補足させていただきますと、

 

【清酒と純粋な水の測定時、同じ条件ではなく温度が違います。温度が10℃上がると、「小数点4以下の世界」の話ですが、軽くなります。また、アルコールを含んだ清酒(軽い)と純粋な水(重い)とでは比重も違います。】

 

甘口・辛口という表現の歴史をみてみますと、甘口という表現方法は昔からあり、それに対して、あっさりとしたお酒を「何口」にしようかというわけで、「辛口」という表現ができたそうです。昔は、「からっとした酒」といわれていたそうです。唐辛子や塩のような辛味は、日本酒の成分には含まれておらず、超辛口といえど、お米で造られた清酒ですので、甘みは必ずあります。

 

まとめますと、日本酒度でいう辛口は、【あっさりした甘み】。甘口になれば、【濃いめの甘み】と考えていただければよろしいのではないかと思います。

 

次回は、「酸度」についてご紹介します。

 

十九代目 大塚恭範 拝